環境中に排出される化学物質規制に関するパブリックコメント

ツイッターに「1月5日締切で、PRTR指定物質に関してのパブリックコメント募集中です。456、457が石鹸の成分です。『大昔から使われている石鹸成分が有害物質指定なんておかしい。コロナ禍でも石けんは大活躍している』等、何でもいいです。どうぞ、パブコメにご参加をお願い致します。」との投稿があり、下記がリンクされていました。

PRTRとは、人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質が、事業所から環境(大気、水、土壌)へ排出される量及び廃棄物に含まれて事業所外へ移動する量を、事業者が自ら把握し国に届け出をし、国は届出データや推計に基づき、排出量・移動量を集計・公表する制度のことです。恐らく9割以上の日本人がこの制度を知らないと思いますので、このツイッターを読んで関心を持つ人はこの段階でかなり淘汰されるなと思いました。
次にリンク先のパブリックコメントのホームページに行って、絶句しました。政令案の概要を説明した文書は、一部の化学物質を追加もしくは削減を行うと書かれているだけです。それ以上の情報は法案そのものを見るしかないのですが、法案は追加もしくは削減される物質名がある文章に線が書かれているだけで、何にどういう目的で使われている物質なのかは、よほど化学物質に詳しい専門家でないと分かりません。
担当者としては、概要に「今般、新たに第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質の対象とすべき化学物質について、薬事・食品衛生審議会、化学物質審議会及び中央環境審議会より答申(「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に基づく第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質の指定の見直しについて(答申)」(令和2年8月))がなされたところであり」と書いてあるのだから、どういう経緯で追加・削減するかはそっちを見れば分かる、というスタンスなのでしょう。国民全体の健康に関わる法律が、国民にはほとんど意味が分からない状態でパブリックコメントにかけられ、国民からのご意見は聞きましたということでそのまま通ってしまうのでしょう。
こういったパブリックコメントをするからには、少なくとも義務教育の範囲でこの内容が分かるような教育をすべきではないでしょうか。そうでないなら、義務教育の範囲内の知識で、この法律改正の内容が分かるような解説をつけるべきだと思いました。