コミック「『ただの空気』が吸えなくなりました。」

化学物質過敏症患者の経験をもとに、発症に至るまで、発症の様子、その後が、わかりやすいストーリーで展開するコミックです。Amazonのコメントには「化学物質過敏症が突然発症することやタバコや香水、化粧品など日常的に身の回りにあふれている化学物質に身体が反応してしまう様子がリアルに表現されていてわかりやすい。」とありました。
私が特に注目したのは、咳が止まらないという大変な状況に至るまでの経緯が、22ページにわたって描かれている点です。そこに至るまでのどこかの時点で「この症状は化学物質過敏症かもしれない。」と気づいていれば、軽症で済んだかもしれないと思うからです。
残念ながら、ひどい症状が出た後に受診した医院でさえ、「受動喫煙」と診断されてしまいます。化学物質過敏症は保険適応の病気でありながら、ほとんど認知されていないのです。
本書には「化学物質過敏症で無職になった話」という副題がついています。発症してしまったらタバコ、柔軟剤、消臭剤など、あらゆる気体状人工化学物質に反応してしまって、とても仕事は続けられません。一方で農薬不使用の作物や化学物質以外を原材料にしている消耗品など、安価では売っていないものを使わざるを得なくなる。生きていくのが本当に大変になります。

まだ発症していない若い世代には広く読んでいただいて、不幸にも発症してしまう人が少しでも減ったらと思います。

(追伸)
原作者は「転校生は かがくぶっしつ かびんしょう」という絵本も出版していて、このブログでも2019年1月29日記事で紹介しました。化学物質過敏症になるとどういう状態になるのか、子供にもわかりやすく解説されていました。
ブログ記事当時はネットでフリーで読めたのですが、その後、単行本として出版されたそうです。分かりやすさゆえに需要があったのでしょうね。発売後1年ほどで売り切れ、ずっと増刷できずにいるそうです。
「これだけ需要がある!」というデータがあれば、増刷してもらえるかもしれません。詳しくは原作者の下記ブログ記事をご覧ください。

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