海外の淡水試料は日本に持ち込める!

私は学位研究を東大海洋研でやっていて、「海水試料は淡水試料と違って国内に持ち込める」的な話を学生時代に何度か聞いていました。それでバイカル湖の研究を始めたときにバイカル湖の湖水サンプルは持ち込めないと思い込んでいて、それ以外のサンプルしか日本に持ち帰る対象にしていませんでした。

インドネシアからの留学生さんにも海水しか持ち込めないと話したところ、今度インドネシアに行った時には水田から出た水や井戸水のネオニコチノイドも調べたい、インドネシアから持ち出す分には大丈夫そうなので、日本ではどの法律でなぜダメなのか調べてもらえないかと言われました。

いろいろな法律が関わりそうで、どうやって調べようか考えていたのですが、最近になって「そうだ、彼女が水を持って入国するときにどこでどう調べられるか、成田空港に聞いてみたらいいんだ。」と思いつきました。早速、成田空港のインフォメーションに電話したところ、水ということで担当者はまず、危険物に引っかからないかを調べてくれました。国交省の該当サイトを調べたところ、手荷物として預ける分には、井戸水や河川水は危険物には該当しませんでした。「ということは、あとは植物検疫、動物検疫、税関で問題なければ大丈夫なので、成田空港の各担当者に確認してください。」と電話番号を教えてくれました。

動物検疫は、「その水の中に動物の糞とか肉片とか、あきらかに動物性のものが無ければ大丈夫です。」とのこと。税関は「井戸水、川の水は、税関的には全く問題ありません。」

引っかかったのは植物検疫で、「土壌が入っていたらダメです。」「濾過したらいいですか?その場合、目合い何マイクロの濾紙ならいいですか?熱帯なので、濾過してもフミン質などの有機物は溶存態で残っていて、濾過水も着色していると思います。」と言ったところ、「大臣許可を取るのが無難だと思いますので、横浜植物防疫所に問い合わせて下さい。」と担当者の電話番号を教えていただきました。

同じ内容を質問したところ、やはり大臣許可を得て下さいということになり、担当の方から許可申請の方法を教えていただきました。申請から許可まで40日くらい、その間に持ち込んだ水の保管場所などの視察に来られるとのことでした。

インドネシアの学生さんが出国するのは7月中旬なので、何とか許可が取れそうです。いろいろ手続きが必要とは言え、淡水サンプルも日本に持ち込めることが分かったのは、留学生さんの熱意の賜です。他にも思い込みでハナから諦めていることがあるかもしれない、気をつけないとと思いました。