日本車はいつから輸出が増えた?イノベーションは国民のニーズからうまれる

私は子供時代を、日本が「公害列島」と言われた時に過ごしました。
様々な公害の中で全国的だったもののひとつが、自動車の排ガスでした。そしてそれは先進国共通の問題でもありました。光化学スモッグのおかげで晴れていても屋外での体育は禁止、突然バタンと倒れる経験もしました。
日本車が海外で売れ始めたのは、私の記憶では、この排ガスの排出量を大幅に減らすことに成功したからです。そして成功に至ったのは、当時の大都市での惨状を見かねて排ガス規制を訴えた知事達と知事達がそうさせざるを得なかった私たちの惨状、そしてその技術は可能だと体を張って訴えた研究者がいたからです。
このあたりの経緯は、誰がどう操作しているかは知りませんが、ネットで普通に検索しても出てきません。しかし前者については下記のリンクから論文をゲットできます。

7大都市自動車排出ガス規制問題調査団報告書

また体を張って訴えた研究者が、当時どんなことをしていたかは下記で断片が窺われます。

http://jimnishimura.jp/tech_soc/cha_brain/12.html

ネオニコチノイド問題は、当時の自動車排ガス問題同様、今の先進国共通の大問題です(先進国以外も問題なのですが、実態を調べる研究者さえいない国もあるので、とりあえず先進国に限って書きます)。日本は排ガス問題当時、先進国の中でも「公害列島」と自称するほど大変な状況にありました。そのひとつが大気汚染だったのです。つまり、世界でも最も被害が大きかったからこそ私たちが改善を求めていたのに、メーカーも官庁も、それをないがしろにしていたのです。
しかし日本は、第二次世界大戦当時もそうだと言われていますが、科学技術のレベルはかなり高く、イノベーションの芽はあったのです。それを握りつぶそうとしたのがメーカーと官庁だったことが、上記、研究者の文章から分かると思います(出版後まもなくして絶版になった中公新書「裁かれる自動車」にも詳しく書かれています)。
私は学生時代にこの問題を経験していて、その経験から今のネオニコチノイドに対するメーカーや官庁の対応を比較して見ています。ネオニコチノイド問題について、水田にまくという他の先進国にはない特殊な使い方をしている日本だからこそ、今こそ日本が率先してイノベーションを成し遂げ化学農薬ではない新たな道を示して、海外では相手にされなかった日本車が日本経済の牽引になったように日本経済の再生を果たせる可能性を秘めているのに、何て愚かなんだろうと思います。これでは再び、何の罪もない国民を苦しめ、命まで奪った第二次世界大戦の失敗と同じことを繰り返すのではないでしょうか?

2021年12月8日、私たちは太平洋戦争から80年の節目を迎えます。その直前は大正デモクラシーなど、あのような大戦にひた走るとは思いも寄らなかった時代でした。大げさかもしれませんが、ネオニコチノイド問題は、これからも同様にリトマス試験紙のように私たちを試す問題とともに、私たちが再びあのような破局に向かうかどうか、少しづつ試しているのです。