2030年までに農薬リスク半減

昨年12月に行われた生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)について、12月22日付で環境省が報道発表をしています。

生物多様性条約第15回締約国会議第二部、カルタヘナ議定書第10回締約国会合第二部及び名古屋議定書第4回締約国会合第二部の結果概要について | 報道発表資料 | 環境省

この中に添付資料として「生物多様性条約COP15の主要な決定の概要」のリンクがあります。

https://www.env.go.jp/content/000097721.pdf

主要な決定の概要として下図の説明がありました。

 

 

「ゴール」「ターゲット」については、環境省のこの資料を読んでも理解できないので、下記のリンクを参考にしてください。

このサイトには合意内容原文へのリンクもあります(下のリンクをクリックするとダウンロードできます。英語です)。

https://www.cbd.int/doc/c/e6d3/cd1d/daf663719a03902a9b116c34/cop-15-l-25-en.pdf

原文のターゲット7に下記が明記されています。
「reducing the overall risk from pesticides and highly hazardous chemicals by at least half(農薬および危険性が高い化学物質のリスクを少なくとも現在の半分にする)」
環境省がターゲット6と8は紹介しているのに7をスキップしたのは、なぜでしょう?
とまれ、世界全体で農薬のリスクを現在の半分以下にすることが2030年までの具体的アクション目標とされているのですから、「G7日本開催を契機として世界・アジアのSDGs達成への貢献」を令和5年度重点政策として公表している環境省には、せめて日本の河川や湖沼の農薬濃度はどれくらいなのか、それによって生物多様性にどのような影響があるのか、地方自治体の環境研究所が調査できるくらいの施策を進めてほしいものです。私がScience誌に投稿した「宍道湖ではネオニコチノイド使用開始によって動物プランクトンやオオユスリカなどの餌となる節足動物が激減したことでワカサギやウナギが減った」との論文で、最も苦労したのが、1993年はおろか、今に至っても公共用水域である宍道湖で、農薬濃度のモニタリングが為されていなかったことでした。その状況は、かくも激甚な被害を出していることが証明された今でも変わっていません。
環境省の令和5年度重点政策は下記リンクからダウンロードできます。9頁に上記したG7関係の記載があります。

https://www.env.go.jp/content/000098819.pdf