プラスチックの加熱は危ない

杉並病、寝屋川病と呼ばれる健康被害について、「原因は廃プラスチックの圧縮」との主張が散見されます。
杉並病の原因物質を出した施設は「廃プラスチック圧縮処理施設」ではなく「不燃ゴミ圧縮中継施設」です。使い残しの農薬類、スプレー缶、蛍光灯、乾電池などが適切な処理をされずに、不燃ゴミとして捨てられていた可能性大です。PCBなども不法投棄されていたかもしれません。
寝屋川病の場合、プラスチック加熱溶融施設と廃プラスチック圧縮梱包施設の2つが併設されていました。加熱溶融施設が先に稼働した途端、健康被害が生じました。その施設は今は寝屋川病発生地域にはなく、圧縮梱包施設は残っています。

【お知らせ】北河内4市リサイクルプラザ(かざぐるま)施設内で【電子ライターが原因と思われる】火災が発生しました | 枚方市ホームページ

この記事からも、全ての人がルールに則ってゴミ出しをしているとは限らないことが分かります。「不燃ゴミ」を圧縮していた杉並中継施設からは、何が出ていたか想像もできません。
そして寝屋川病といわれている健康被害は、プラスチック加熱溶融施設が無くなった現在、新たな患者が発生しているとの情報はありません。
ではプラスチックの処理は有毒ガスを発生せず、新たな寝屋川病は起こらないのでしょうか。
そうではありません。プラスチックが加熱される施設で、寝屋川病と酷似した健康被害が発生しています。ホルムアルデヒドが発生している点もそっくりです。

「アルミニウム鋳造工程に起因する大気汚染による健康・病院被害の事例」

http://jsce-ac.umin.jp/jjce21_1_95.pdf

この例では廃プラスチック圧縮施設が周辺に無いばかりか、そもそも廃棄物処理施設ではありません。寝屋川病と共通しているのは上記論文102ページ左欄に書かれているように、「プラスチック樹脂等が高温下におかれていた」ことです。つまり寝屋川病は廃プラスチックの圧縮施設ではなく、加熱施設から出た気体で発生した可能性が高いのです。
プラスチックを不適切に加熱すると有毒ガスが発生するのであれば、これからも寝屋川病のような健康被害は発生すると思います。しかし杉並病でも寝屋川病でも「原因は廃プラスチックの圧縮処理」との主張が広まってしまっており、「圧縮処理が原因ではないのでは?」と言っただけで、寝屋川病そのものを否定したかのように攻撃してくる患者さんもいます。

そういった言動が、次に出るかもしれないプラスチックによる健康被害者が真相にたどりつくのを妨害することになると、理解できないようです(ご自身が「杉並病の原因は廃プラスチック圧縮」との説を信じ込んでしまって、今も抜け出せないように)。

困ったことです。