「協生農法」にご用心

TBS「報道特集」で「協生農法」が紹介されたそうです。YouTubeにアップされていたので内容を確認しました。

「協生農法」はソニーが宣伝している、私からすると大変うさんくさいシロモノです。

ソニーグループポータル | AI Initiatives - 協生農法

報道特集の内容も、懸念していたとおり「何コレ?」でした。
最初に「砂地で作物を育てる」例が出ます。砂地では植物が育たないと誤解している人が多いからインパクトありと判断したのでしょうね。公園の砂場は、子供達が掘り返さないとあっというまに雑草で覆われますけど。鳥取砂丘だって、砂が動かなくなった古砂丘は林で覆われています。砂丘=砂漠ではありません。
16分40秒あたりからブルキナファソでの成功例?が紹介されています「アフリカ協生農法研究教育機関」のアンドレという方が褒め称えています。この方は下記リンクの記事にも出てきます。

この記事に
「この砂漠は、この不毛の地は、人間が作り出したものだ。8000年前まで、サハラには湿った森林や草原が広がっていた。地層をさかのぼって調べれば確かなことだ。今でも膨大な地下水資源が眠っていると言われている。俺たち人間が、放牧や耕作のために木々を根絶やしにしてしまった。それならば、どうだろう、同じ人間の欲が、今度はより豊かな生態系を構築する方向に向いたのなら…サハラはいつまで砂漠でいられるだろうか?」
という、センチメンタルな非科学的文章があります。
サハラが砂漠になったのは地球の歳差運動が原因であって、人間が緑を破壊したからではありません。気候学では「緑のサハラ」として知られている常識です。

 Yahoo知恵袋に報道特集を見て疑問を感じた方が質問していて、回答のひとつがとても分かりやすく「協生農法」の矛盾点などを指摘していました。

「この農法は無施肥、無農薬、無耕作で生産できると言っていますが、農作物は土壌栄養と大気の炭酸ガスの光合成による固定によって行われるので、少なくとも土壌栄養の外部からの供給がなければ成立しません。鳥の糞ではとても足りません。作物や木の落ち葉で栄養は循環しても、農作物として持ち出せば減っていきます。栄養分の収支がどうなっているのかがわかりません。また、この農法について発表された論文は問題の多い、所謂ハゲタカ出版社のものでした(掲載料を出せば2週間ほどで掲載されるようです)。過剰な肥料や農薬の利用が耕地を劣化させ生産を低下させている事実はあるものの、だからと言ってこの農法は一部の愛好家にはいいですけれど、一般の食料供給が満たせる農法とは考えられません。」


「協生農法」のおかげで、佐渡や豊岡などでトキやコウノトリと「共生」するために行われている無農薬の稲作栽培まで「いかがわしい」と誤解されないよう願います。