研究紹介1:ホトトギスガイの低塩分域への遡上メカニズム

ホトトギスガイというイガイ科の二枚貝は、海外では外来生物として有名ですが、日本にはもともといた二枚貝です。殻の模様が鳥のホトトギスに似ているため、この名前がついています(私のホームページのイメージ館、「誰か食べて」に写真があります)。
このホトトギスガイ、互いに足糸を絡め合ってマットのように底を覆ってしまい、砂の中に潜るアサリやシジミを窒息させてしまいます。生息する塩分がアサリと重なるので、アサリ漁場に大きな被害をもたらす生物とされています。
ところがこのホトトギスガイ、もう少し塩分が低い、ヤマトシジミが住んでいる水域にも、浮遊幼生が出る頃に塩分が高いと、やってきて住み着いてしまうようなのです。
そこで、どのようなメカニズムでホトトギスガイが低塩分域に遡上するのか、定着基盤を置いたり、現場飼育実験をしたり、湖底上を多層に分けて採取できるプランクトンネットを作ったりして、この1年調査してきました。
あいにく昨年は記録的な豪雨でホトトギスガイの宍道湖への遡上はほとんどありませんでした。でも、なぜか宍道湖では豪雨の翌年は渇水になることが多く、今年もやっぱり渇水気味、既に渦鞭毛藻が宍道湖で繁殖しています。
この2泊3日で、ホトトギスガイに関する現場の確認と、今後どうするか(予算は5月で切れてしまう。。。)を共同研究者と話し合って来ました。今年は遡上する確率が高いので、何とか続けたいということになりました。
自然相手の研究はこのように、実験室と違って、計画通りに進まないことの方が多いので、期限内に結論を出すには、一工夫が必要になります。