さすが「オオクチ」バス

修士1年I君のテーマは外来種が水質に与える影響で、バス100尾捕獲大作戦とか、バスに関わる食物連鎖の解析で植物からベントス、同じくらい高位の捕食者(ライギョブルーギルウシガエル)などの採取と解剖といった作業が続いています。学部の時は有機フッ素の分析という、高度な化学分析に特化した研究をしていたI君、イチからの勉強、就活と、なかなか忙しい毎日です。
高位捕食者は捕まえたいときに捕まるものではないので、つくば近郊の宍塚大池で、外来魚駆除用の網カゴにかかる度にいただいています。それで、いつもI君が解剖できるとは限らず、ライギョは私が引き取って格闘、ウシガエルは調度I君がつくばで作業をしている時だったので、I君達学生さんが解剖(ネットで「カエルの解剖」に関する情報を引き出して勉強、教科書的にきれいな解剖をしていました)、そして今回、大物バスが得られて、私が解剖。この機会に体長と口のサイズを測ってみました。
いや、さすがにオオクチバスと言われるだけのことはあります。写真のバスは体長30cmと小さめの個体ですが、口を開けると、縦方向も横方向も5cmと、体長の6分の1の大きさです。人間でいえば、身長150cmの6分の1は25cmですから、ほぼ顔全体が口!
見た感じ、鋭いとか、堅くてウスのような歯があるわけではなさそうなので、バスって、獲物を蛇みたく丸飲みするのでしょうか。
駆除作業にあたっておられる会の方が「分析の残りは是非食べてください。おいしいですよ。」と言われて、また、息子が中学校の総合学習かなんかでこの池の見学に行ったときにバス料理を食べさせてもらって「この前のライギョほどじゃないけど、おいしい魚だ」というので、残りの切り身はムニエルにでもしようと、とっておきました。
そういえば、今回、バスと同じくらい高位の捕食者として対象にしているライギョウシガエルブルーギル、いずれも食用として移入されたり、原産国では重要な食材になったものばかり。ブルーギルも、宍塚で食べたらしい息子は「フライにするとおいしい」と言っています。
外来魚の駆除については、すべてを一様に駆除するのではなく、その被食・補食関係や、食材として人間が捕食者になる可能性など、いろいろな可能性を考えたいと思います。だって米にしたって彼岸花にしたって、今では日本の原風景になっている植物も、もともとは人が食べるために移入した生物なのですから(だからと言って、むやみやたらに外来種を入れろと言っているのではなく、既に定着し半世紀を経ている動物については、排除も慎重を期して、という意味です。念のため)。