七転び八起き

無神経な指導教員から「研究、諦めたら?」くらい言われて相当悩んでしまったT君ですが、タイミングよく学位論文について書かれたK先生のブログ(http://ecosystems.lab.tuat.ac.jp/weblog/latest.html)に悟るところがあったらしく、気を取り直して執筆に励んでいるようです。
T君のテーマは、もし吉村先生や西條先生がおられたら「東大地理の陸水学らしいテーマですね」と必ず言ってくださるようなもので、それだけに吉村先生が「湖沼学」の<緒言>で書かれた大変さに、まだ30歳にもならないうちから直面しなければなりません。
「常々からそう思っていたが、本書編集に当たって最も強く感ぜられたのは、著者の出身学科(地理学)の関係上、補助諸学科の知識、並びに理解力の欠乏であって、本書中に多くあるであろう不徹底の記述は主にこの点に原因している。その為に筆を絶とうとしたことが何度あったか分からない。」
同じ専門用語が通じるコミュニティーで、ホットな話題だけ追っていれば国際誌に投稿もできる分野とそうでない分野との差が、厳としてあると思います。そして、自然環境という複雑なシステムを解明する研究が、どちらのタイプになるかは明らかです。大変さを承知で今のテーマを選んだT君には、これからも指導教員の暴言にめげずに研究を続けて、いつかは自分の学問を作り上げてほしいと思います。