科学の花

ふしぎだと思うこと
これが科学の芽です

よく観察してたしかめ
そして考えること
これが科学の茎です

そうして最後に
なぞがとける
これが科学の花です   朝永振一郎


上記は筑波大学主催「第6回科学の芽賞」の募集案内にあった文章です。小中校生を対象にしています。ここでいう「科学」は、人文科学ではなく主に自然科学を指していると思います。

地球温暖化から都市型洪水(神戸で雨雲発生から20分以内に洪水が起こって人命が失われたような)など、私たちをとりまく水環境は激動しています。私たちにとって当たり前だったことが、私たちの子供の世代には、合理的理由がない思い込みに変わっているかもしれません。

自然科学は、そんな激動の時代を生き抜く上で不可欠です。

「科学の芽賞」が企画されるつくばの水道水源である霞ヶ浦で、アサザ植栽事業を進めているNPO法人があります。その団体は、アサザを植えるとやがて霞ヶ浦にトキが来るとの空想を図にして子供達に見せるのだそうです。子供達に現実を観察させるのではなく、空想図を見せる!
今でも土浦市の小学生がアサザ植栽事業にかり出されているようです。その子達が自然科学を通じて水環境を考えるようになれば、子供の頃のアサザ植栽事業がどういうことだったのか、なぞがとけると思います。自然科学は教わったことを鵜呑みにするのではなく、よく観察し、考えることが茎ですから。

アサザを植えることで霞ヶ浦にトキが来るようになるのか。トキ復活の専門家である山岸先生は、「非常にシンボリックにわかりやすいのでお使いになっているだけで、本心は来るとは思っていないのではないかと僕は思うんですけどね」と言われています(河川環境管理財団講演集vol.14,p25)。