今日の「宍道湖保全再生協議会報告会」で、シジミ統合モデルが紹介されました。これまで経験則で実施してきた漁獲規制ですが、今後はこのモデルを用いて科学的に検討して実施することができます。
宍道湖のヤマトシジミは、おそらく日本のどの漁場よりもしっかり資源管理されてきました。それでも2010年から2012年まで漁獲量が激減し、漁獲量が全国2位に転落しました。
その2012年から私が宍道湖保全再生協議会の座長になり、水産の専門家だけでなく、植物プランクトンや水理、水質など様々な専門家に全国から来ていただき、地元の研究者とともに研究を展開しました。年度末には関連する行政(水産、河川管理者、環境担当者)の方にも来ていただき、それぞれの成果を紹介した上で次年度の課題を議論し、6年かけて上記モデルに必要な知見を集めてきました。
今回、2012年の資源量の急減と、2013年の急回復を再現でき、かつシジミが全くいなかったら宍道湖の水質がどうなるかも再現することができました。
こんなモデル、世界で作成できるのは、シジミが環境を左右するくらいいる宍道湖だけです。私は20歳で多毛類調査から宍道湖研究を始めましたが、この湖の環境はシジミが何をしているのか分からないと解明できないと気付き、学位論文からシジミを通じた物質循環研究に転向しました。宍道湖とシジミに関わるみなさまのご尽力により、その集大成が30年後に完成されました。
長かったような短かったような。