読書記録

医学・医療系のための生物学の基礎知識−生命の誕生・くすり・再生医療まで−

著者が医学部と歯学部に入学した一、二年生を対象に「新薬開発から再生医療まで」という医学入門の講義を行ってきた内容を中心に、わかりやすくまとめたものが本書です。医学系を受験する学生は物理・化学を選択することが多く、生物を選択しなかった学生が…

テルマエロマエII

イタリアの新聞に「ローマ帝国ついに日本の漫画界を征服!!」と書かれたとある、テルマエロマエ。ローマ帝国の浴場という、テーマが極めて限定されているこの漫画。果たして2作目も前作ほどおもしろいか不安でしたが、杞憂に終わりました。 「こだわり」っ…

ザリガニ ニホン・アメリカ・ウチダ

B6版117頁とコンパクトながら、日本に住むザリガニの全てが扱われています。 表題の「ニホン・アメリカ・ウチダ」は日本に生息するザリガニ3種の名前です。もともと日本にいたのはニホンザリガニだけ。残りの二種は外来種です。これら3種も含め世界のザリガ…

「流系の科学」

宇野木早苗先生からご高著「流系の科学」を贈っていただきました。 宇野木先生は1924年生まれなので、現在86歳。長良川河口堰問題では、同年齢の西條八束先生(故人)、奥田節夫先生とご一緒に広範に活動されて、そのパワーに圧倒されたものでした。 海がご…

あたりまえだけどなかなかできない雑談のルール

学会の懇親会って、大学に移るまではほぼパスでした。話べただから。仕事の話ならいくらでもできますが、雑談となると、何をどう話していいのかパニックになります。研究所のヒラ研究員だった頃は「苦手だからパス!」で済んでいましたが、学生を持つ身とな…

朝イチでメールは読むな!

冒頭のタイトルに関わる記述として ・メールを多用することで、かえって「仕事量が増えてしまう」恐れがあることだ。「電話が長い人は仕事ができない」と書いたが、これはメールばかりやっている人にも当てはまる。 ・上司とのやり取りは、たとえ社内でのや…

議論のルールブック

A「携帯電話に集中してしまうと、周囲が見えなくなります。周囲が見えないから、そこに他人がいることをついつい忘れてしまって、マナーが悪くなるのです。それ以上どんな根拠が必要なのでしょう。」 B「そんな風に論理をつなげただけの意見を主張していいの…

楽勉につながるコミック

勉強が嫌い、苦痛なのって、いやいややっているからだと娘を見ていて思います。同じことなら、何とか興味を持てないものか。。。 久しぶりに行った書店で、売れ筋として積んであった「ダーリンの頭ン中2」。面白かったので1巻を探したら、こちらは「英語と…

坂東式ハッピーライフ両立力

出版社からのプロモーションには「幸せの鍵は“ギアチェンジ”70歳まで楽しく働く―これからは、女性もそれくらい長いスパンで未来を見据え、人生を歩むべきです。仕事も育児もうまくいく“両手に花”のつかみ方」とあります。・職業人としてのステージを3つにわ…

マラソン100回の知恵 サブフォーをめざす市民ランナーへ

「サブフォーをめざす市民ランナーへ」に惹かれて買ってしまった本です。哲学者である著者らしく、初めの方には「人はなぜ走るのか」と問い、「閉ざされた室内に座り続けて、頭を寄せ合って生まれるものだけが文化であるとは限らない」と、走るのは文化との…

杉田敏著「人を動かす!話す技術」

著者の名前を見て「やさしいビジネス英語」の講師を思い浮かべる方は多くても、本職はPR業とご存知の方は少ないでしょう。そもそもPR業とは何かも理解されることは少ないそうです。PR業とは「広告以外のコミュニケーションを行う仕事」ということで、本書は…

日本医家伝

江戸時代中期から明治初期にかけての医家12人の紹介です。そして文庫版後書きに著者は、「時代は変転しても人間性は不変であり、江戸時代の医家の生き方が、そのまま現代の医家たちのそれと驚くほど共通したものがあることにも気づいた」とあります。 でも私…

世界一の美女の創りかた

女の子の反抗期は男の子より大変とは聞いていましたが、私自身が親に反抗した経験が全くないので「まさか」と思っていたら、確かにスゴイ。息子の場合は、無茶苦茶ながらに,一応理屈があるように見せようとする分、10回に1回くらいは議論で本当に納得する…

文明の海洋史観

新しい静岡県知事選に元静岡文化芸術大学長・川勝平太氏に決まりました。 夏学期に海洋研のK先生と私とで担当している「水環境論」の最終回は、実は川勝氏の著書「文明の海洋史観」から、持続可能な社会について考えてもらうつもりでした。 今年は諸般の事…

ビジネスリーダーの英語(CD付)

3月28日付記事に続き、英語学習お勧め本です。 インタビュー集なので講演やディスカッションの練習には不向きですが、3時間以上延々英語を流したい、その英語テキストもシャドウィングに使いたい、という使い方にはGoodです。テキストに和訳はありませんが、…

英会話のお勉強

あと20日でLOICZの科学運営委員会委員長が小樽で開かれるIGBPの委員会に出るためにやってきて、成田に1泊するからいろいろ話そう、てことになってる。英語、本当に今すぐリハビリ始めないとやばい!と、先日の研究室追いコンで新宿に行った際に、紀伊国屋の…

アミノエビデンス

1月17日記事でご紹介した大谷先生からご高著をいただきました。 全3章から成っていて、第1章ではアミノ酸がなぜどのような症状に効くと考えられるか、主に文献からの引用で解説されています。アミノ酸は体タンパク質として使われるだけでなく、ホルモンや生…

高学歴ワーキングプア「フリーター生産工場としての大学院」

「医学や工学といった一部を除く」オーバードクターの現状について問題提起している本です。2007年出版。8月26付記事で紹介した城繁幸著「若者はなぜ3年で辞めるのか?」にあった「この国は若者を食い物にすることで既得権を握っている年配者が生き延びる構…

脳脊髄液減少症-「慢性疲労」「原因不明の病気」の正体はこれだ!

脳脊髄液減少症の患者さんが作っているHPのひとつとしてよく閲覧していたKen's Field 脳脊髄液減少症<慢性疲労症候群の管理人さんが書かれた本です。患者として是非知りたいことを、この病気については第一人者である篠永先生に尋ねて回答を整理されていま…

若者はなぜ3年で辞めるのか?

新卒で就職した若者の3割が、3年以内に職を辞すと言われています。今のM2は私から手取足取り指導されることなく「研究なんて就職してからプロジェクトに関わるのと変わんないから、練習と思いな」とか言われ、「最先端やってないとライバル企業に負ける…

牛乳の生化学と微生物学

下記の本の著者、小寺ときさんに出会ったのは、博士課程の学生のときでした。アメリカで飲んでいた牛乳と日本のとでは全く違っていて、それがどうしてか分からぬまま、体に負担なく飲むことができたアメリカの牛乳と同じものを探し歩いていました。その頃、…

理系のための人生設計ガイド

昨年「参考書2」として紹介した「理系のための研究生活ガイド」、その続編に当たる本書が11年を経て今年の4月に出版されました。理系のための人生設計ガイド―経済的自立から教授選、会社設立まで (ブルーバックス)作者: 坪田一男出版社/メーカー: 講談社発…

技術士(環境部門)の過去問

自然環境専攻の講義として、今年度は前期に「水環境論」を海洋研のK先生と二人で担当しました。来年度前期は陸域の先生方お二人と3人で実習を、また講義として単独で「環境計測論」を担当します。これらの実習や講義で何をどこまで教えるべきか、参考にと「…

郡司和夫著「食品のカラクリ」〜厚生省は国民の健康のためにあらゆる情報を公開しなければならない

大量生産、薄利多売タイプの食品がいかに危険に満ちているかを指摘した内容。学生の頃、似た名前の方(郡司篤孝)が書いた似た内容の本を読んだことがあって、同じテーマを同じ姓名の人が取り組むなんて偶然にしても面白いなと思っていたら、種明かしも本書…

吉田正人著「自然保護 その生態学と社会学」著者からのコメント

12月25日に表記の本の書評を書きましたが、これについて著者の吉田様からコメントをいただきました。特に「アメリカ合衆国は生物多様性条約を締結していない」という事実の記載が抜けているとした点については私の見落としで、申し訳なかったです。アメリカ…

吉田正人著「自然保護 その生態学と社会学」

第1章のタイトルは「自然保護の歴史と概念」、続く第2章から第4章までは、森林、河川・湖沼、海岸・沿岸域の生態系の特徴を、日本の事例を踏まえて解説しています。また、関連する日本の法律についても言及されていて、2〜4章合わせてA5版60ページ弱で…

「里湖モク採り物語 50年前の水面下の世界」

これまで何冊か本をご紹介してきましたが、自分が書いたものは1冊も紹介していなかったことに、今、気づきました。 昨年、山陰地方の宍道湖・中海の研究を学生の頃からサポートしてくださっていた方々と、中海のアマモ採草漁から始まって、海草・水草が1950…

持続可能な日本

夏学期の「水環境論」の淡水篇では、日本という国土で持続可能に人が生きていくためにどうすればいいのか、淡水資源問題から考えてみました。 その時に指摘したいくつかのポイントのうち、「危機的な食糧自給率の改善」「クルマに依存しない生活体系」「人口…