陸水学・水環境

ハス消滅原因の解明2年目

手賀沼ではかつて、繁茂をどうやって防ぐかを検討していたほど、広大なハス群落がありました。それが突然、2020年に消滅しました。原因は分かっていません。 【第134号】全滅の手賀沼ハス群生地 | 柏市役所 琵琶湖でも2016年にハス群落が突然消滅しました。…

宍塚大池のタイムカプセル

つくばセンターから車で10分程度にある宍塚大池は「日本のため池100選」にも指定され、周辺は広大な里山に囲まれています。その宍塚大池では毎年刈り取るほど繁茂していたハスが、2020年から全く生えなくなりました。原因はオオクチバスが激減し、オオクチバ…

水循環サイトのリンクが。。

水関係の講義資料に、米国地質調査所(USGS)のサイトがとても重宝します。 Where does the water cycle begin? USGS Water Science School かつてはUSGSの水関係のスライドの大部分をを日本の地質調査所が和訳してネットで公開していました。ところが今日調…

大浦湾を埋め立ててはいけない

辺野古の埋め立てで問題になっている軟弱地盤は、大浦湾の海底です。マングローブから出てすぐに水深90mも深くなっている特異な地形が亜熱帯にあることから、大浦湾はまだ世界に知られていない動物が数多くいます。体長3mを超えるナマコも、実態が知られぬ…

TBS「報道特集」が農薬工業会の見解に反論

ネオニコチノイドの問題点を指摘したTBS「報道特集」が、農薬工業会 の見解に対する反論を公開しました。農薬はコロナのワクチンなどと違って人への治験はしていない実態も紹介し、その上で安全性をどう考えればよいのか問うています。 今年度はネオニコチノ…

日本の生態学は使えない

下記リンクは1983年に発行された「冒険する頭」という本の1章です。既にこの時点で、地球温暖化やプラスチックゴミが地球規模の環境問題になると予測しています。 http://jimnishimura.jp/tech_soc/cha_brain/5_3.html 下記の拙著で、日本の生態学者達が見抜…

捕食者だけ駆除しても。。。

ウシガエルは食用にするために、アメリカから日本に持ち込まれました。戦前には食用として利用されているアメリカに輸出するほど養殖されていたそうです。その餌として持ち込まれたのがアメリカザリガニです。アメリカザリガニもウシガエルも、今では日本各…

総合学習では釣りをして、水辺の保全を学ぼう!

拙著「魚はなぜ減った?見えない真犯人を追う」にAmazonでレビューが書かれていました。 魚はなぜ減った?見えない真犯人を追う 作者:山室真澄 つり人社 Amazon 「マスメディアにありがちな農薬への不安を煽るような論旨ではなくひと安心」「巻末には無農薬栽…

滅多に起こらない事故が起こった群馬大病院

群馬大学は20日、群馬大病院の新生児集中治療室(NICU)などに入院中の乳児10人が、血液を通じて体内に酸素が行き渡りにくくなるメトヘモグロビン血症を発症したと発表しました。メトヘモブロビン血症は、日本では滅多に起こらないと考られていまし…

魚はなぜ減った?

10月28日に拙著「魚はなぜ減った?見えない真犯人を追う」が出版されます。つり人社からの出版、かつ「魚」とありますが、日本では主食が米(=農地の多くが田んぼ)という特殊事情から、農薬が様々な水環境や飲用水を汚染してしまう実態も説明しています。…

バイカル湖表層水中のマイクロプラスチック濃度

バイカル湖表層水中のマイクロプラスチック濃度を調べた共著論文が公表されました。 Lake-wide assessment of microplastics in the surface waters of Lake Baikal, Siberia まるで海のように広いバイカル湖ですが、海よりも閉鎖性が強いために、内湾などよ…

測ってのお楽しみ!

今年の水質測定実習で雨水と水道水をパックテストで測ってもらったところ、コロナで経済活動が鈍り、日本の平均的な雨よりもpHが中性に近く硝酸がかなり低いという結果になりました。 「なるほどね。」という結果だったのですが、パックテストで分かるほど…

無事セッション終了

日本水環境学会では9月に、各研究委員会がセッションを企画する「シンポジウム」という形式の学会を開催しています。今年は今日と明日で、2年続けてのオンライン開催となりました。私が幹事長を務めている汽水域研究委員会のセッションは今日の午前でした。 …

バイカル湖のマイクロプラスチックを牛が除去するとしたら?

マイクロプラスチックが世界的な問題になっていますが、牛の胃でマイクロプラスチックが分解されるとの論文が下記記事で紹介されていました。牛の胃からは温暖化ガスのメタンが出ると指摘されているのですが、こんないいこともしてるんだョ、という感じでし…

ヨシってやつは。。。

自宅近くの洞峰公園の池では、水面の4分の1ほどがヨシに覆われています。その東端は完全に陸地化して、公園と地続きになってしまっています。さすがにこれはまずいと、先日、ヨシの一部を刈り取っていました。ようやく現れた水面に、水鳥が嬉しそうに泳いで…

付着植物

私は本郷の講義で、アンモニアや硝酸が大気中で増えていることを説明する際、下記記事にある写真を引用しています。 これはヨーロッパのことだと思っていたら、ここ数年、自宅近くの公園の桜で、同様の現象が見られるようになりました。私は桜の光沢のある樹…

西條先生のお年玉

正午のNHKニュースをBGMにしようと早めにテレビをつけたら、名曲アルバムで西条八十作詞の「かなりあ」が千葉県鋸南町の海岸の映像とともに流れていました。「僕にはオヤジの歌が流れるたびに『お年玉』が入るのですよ。」と笑っていた西條八束先生の快活な…

アサザ植栽事業のなれの果て

2008年時点の霞ヶ浦根田の、アサザ植栽地です。Google Earth のストリートビューからとってきました。沖合に消波堤が見えます。アサザを波から守るとして作られたものです。 2000年に工事が行われた頃の写真です(出典:霞ヶ浦湖岸植生帯の緊急保全対策評価…

魚が減るのは温暖化のせい?

湖沼における地球温暖化に関していろいろ調べていたところ、環境省が今年になって公表した「気候変動による湖沼の水環境への影響評価・適応策検討に係る手引き」に行き当たりました。 環境省_気候変動による湖沼の水環境への影響評価・適応策検討に係る手引…

温暖化なのに北方外来種が侵入する琵琶湖?

滋賀県琵琶湖環境科学研究センターが一般向けに発行している「びわ湖みらい」34号が郵送で届きました。最後のページに、1977年から近年までのプランクトン異常発生の歴史がまとめられていました。それによると1993年までは富栄養化で特徴付けられ、北湖で淡…

悲喜こもごも

英語が母国語の友人が、日本の学会が発行している英文誌に投稿したところ、二度にわたって「文法がおかしい」「表現がひどい」と、そっちこそ何て変な英語!という英語で指摘されて「もう、この学会誌には二度と投稿しない。友人にもこの雑誌の投稿はやめと…

日本のような洪水がドイツで発生

勾配がゆるいヨーロッパ大陸平野部の洪水は、濁流が一気に堤防を決壊させるような日本の洪水と違って、水位がゆっくり上昇してやがて堤防を越え、街が長期間にわたって水浸しになるタイプでした。ところが今回ドイツ・ベルギーで起こった洪水は、ニュースで…

宍道湖のシジミが心配

斐伊川放水路が運用されたので、豪雨のたびに宍道湖に大量の淡水が流れ込んで塩分を低下させることはないだろうと思っていました。 島根県:島根県 : 特集1 斐伊川放水路が運用を開始しました(トップ / 県政・統計 / 政策・財政 / 広聴・広報 / フォトしま…

雨水では順調に育つのに。。。

4月30日に東大ハス見本園から苗を分けていただいたハスの、本日の様子です。順調に育っています。この池はほぼ雨水で湛水しています。 いただいたハス苗のうち、元気そうなのを5月18日に手賀沼に持って行ったのですが、芽の先や茎が腐り、どれも元気がないと…

牛久沼でハスが消えた原因はカメではない

牛久沼でハスが消えた原因はカメの食害か実験していましたが、どう考えてもカメではないとの結論になりました。当初から牛久沼で育てていたハスは、食害されないようにネットをかけていたものも枯れました。そこで宍塚大池で立葉が出るまで育ったものと、ま…

きっかけは保全生態学者の妄想

霞ヶ浦はもともと汽水でアサザは極く限られた河口近くに細々と生えていた程度だったのですが、そんな常識も働かない某NPOと某保全生態学者により、「霞ヶ浦でしか日本のアサザは再生産できない」というデマが流され、緊急保全対策として消波堤を設置し、アサ…

田んぼで何かが起こってる?

5月31日記事「アマガエルは今。。。」でカエルの専門家の方から「繁殖期になるとニホンアマガエルは水田に集まり、畦などで鳴くが、原則、夜だけ。水田はオープンエリアなので、明るいときに鳴くと鳥などに捕食されてしまうため。鳥などが少ない雨の日は昼で…

パックテストをあなどるなかれ

昨日は毎年恒例のパックテストを使った水質測定実習でした。学生さんは5名づつ4班に分かれています。私の部屋の水道水をいれたビーカーと、昨年10月につくば市で採った雨水をいれたビーカーを2つずつ用意し、各班にはどちらかを言わず、pH、硝酸、リン酸、…

50年以上前から指摘されていた、農薬と洗剤が環境に与える影響

日経サイエンス2015年2月号の記事です。サイエンティフィックアメリカンの過去の記事を紹介するコーナーです。1965年、科学による技術革新の失敗例として「農薬と洗剤が、環境に与える影響が試験されないまま広範に使用されている。」と指摘、「地球全体が科…

アメリカザリガニ野放しでのバス駆除

宍塚大池で行っていた実験で、アメリカザリガニが食べないようにネットをかけたプランターで立葉が確認できたので、ここでのハスの消失は農薬ではなくアメリカザリガニに食べられたからである可能性が高いと判断し、本日で全てのプランターを回収してきまし…