陸水学・水環境

鶏糞でアサリを増やせるか?

有明海でアサリを増やすために鶏糞をまいているとの情報が入りました。NHKの報道は下記です。念のため、この材を作っている企業のホームページを確認したところ、実験室実験の結果は掲載されておらず、いきなり対策として使われたようです。「鉄鋼スラグと鶏…

誰もが知らない間に吸い込んでいるかもしれない人工香料原液

先日の水環境学会では、柔軟剤のマイクロカプセルについて発表しました。柔軟剤の香料成分は揮発性、かつ疎水性です。そして国内外で、香料成分が魚介類から検出されたとの論文が発表されています。なぜ揮発性・疎水性の香料が検出されるかのメカニズムは誰…

引き続き情報お願いします:ハスや水草の消滅

8月22日にハスや水草情報の提供をお願いしたところ、読者の方から末尾の情報をいただきました。ありがとうございました。この情報を植物の専門家に伝えたところ2016年以降に各地で起こっているという点に注目され、「自宅で栽培していたアサザが原因不明のま…

ハスの消滅、除草剤が原因か

ハスの消滅状況を野生植物に詳しい方に報告したところ、急激な衰退はウイルスか除草剤が原因と考えられ、枯れた当時の写真があればどちらか判断できるとのことでした。 そこで牛久沼と手賀沼の写真をお送りしたところ手賀沼について回答があり、ハスが枯れた…

情報お願いします:ハスや水草が急に消えた!

学生のフィールドだった宍塚大池と手賀沼で今年突然、ハス群落が消えました。気になってネットや知人からの情報をまとめました。 追加・修正情報がありましたら、 yamamuro@edu.k.u-tokyo.ac.jp までご提供お願い申し上げます。 ーーーーーーーーーーーーー…

台所占拠は続く。。

今日はテナガエビ釣り名人に同行して、利根川下流に行ってきました。実験中のスジエビは霞ヶ浦産ですが、河川産には浮遊幼生期を海水もしくは汽水で育ち、着底後に上流に上るタイプがあるとの報告があり、うまくすればそのタイプのスジエビが採れるかもと思…

そしてまた実験

三度目の正直実験を始めました。少しづつ改良されて、最初のセットよりはスッキリした感じがします。 今回の最大の改良は、エビの隠れ家をいれたことです。ブログを読んだ知人から、「学生がスジエビの共食いを防ぐのに、プラスチックメッシュを筒状に丸めた…

三度目の正直

スジエビを使ったネオニコチノイド曝露実験、恐れていた共食いが発生したため、専門家の知人から「悩ましいですね。。。」とコメントされる結果に終わりました。「共食いを防ぐには六穴シャーレに1尾づついれるくらいじゃないと無理じゃないですか。」と指…

可愛い顔してるのに

表情も仕草もかわいらしい、スジエビの稚エビ。 昨日、3日間の馴致を経て、ネオニコチノイド曝露実験第2弾を始めましました。大きめの水槽2つ用意し、雨水と、雨水に塩を加えた汽水を満たして馴致させてましたが、雨水だけの水槽は明らかに個体数が減ってい…

スジエビ100匹ゲット!

今日は霞ヶ浦にスジエビの稚エビを採りに行きました。目標は100匹!予備実験の結果を毒性学の専門家の方に評価いただいたところ、1容器7匹以上でコントロール3、ネオニコ入り3が最低必要と指摘されたからです。これに塩分の有無を加えると12容器×7で84…

第一ラウンド終了

スジエビへのネオニコチノイド曝露実験、今夜で4系列のうち1系列で過半数が死亡したので、明日で系を解体します。過半数超え死亡個体となったスジエビ君が下記。朝にはなかった脱皮殻があったので、脱皮してから死亡したのかもしれません。 下の写真は9日…

曝露実験開始

今日は午前にかすみがうら市水族館に行って、稚エビを同定していただきました。初めての訪問ですが、市営とは思えないほど様々な魚やエビなどが生きた状態で展示されていました。宍道湖のゴビウスでは激減したために展示できなくなったワカサギも、大きな水…

台所の実験施設化完成

テナガエビは汽水から淡水に生息します。ネオニコチノイド殺虫剤は淡水種より汽水種への影響が大きいのではと考え、実験してみようと4尾の抱卵メスを飼育して放卵させたところ、台所でできる規模で浮遊幼生を育てるのは難しいことがわかりました。それで、影…

コロナ対策、今、地方がすべきこと

私は3月4日時点で「6月以降の日本では水害により避難所のクラスター化が懸念される」と指摘しました。 あと3ヶ月でマスクの安定供給を! - Limnology 水から環境を考える 懸念が当たってしまい、本日、球磨川で氾濫が発生しました。これから10月まで、同様の…

ノルウエーのサーモン養殖場ではネオニコチノイドがまかれている

ノルウエーの養殖サーモンと言えば、大手スーパーがおいしさだけでなく安全性を強調して、他のサーモンより少しお高めな価格設定で販売しています。ふるさと納税でもノルウエーサーモンは人気が高く、私も取り寄せてみましたが、脂がのっていて、まぐろのト…

編集者さんに感謝!

月刊「つり人」7月号から連載を掲載しています。 毎月18日に担当編集者さんからおおよそのストーリーと、「こんな図があれば。。。」というリクエストが届きます。それを踏まえて8日までに原稿と図を提出というサイクルで、今日は第3回の原稿を送りました。…

テナガエビ幼生の餌問題

テナガエビのネオニコチノイド感受性を調べる実験、感受性が一番高いのは孵化直後のはずですが、餌をやらないとネオニコ以前に餓死してしまうので文献検索したところ、汽水産と淡水産のテナガエビの幼生にアルテミア(ブラインシュリンプ)のノウプリウス幼…

巣ごもり実験

霞ヶ浦の抱卵テナガエビが我が家に来てくれて、今日で1週間。確実に食べてくれて水も汚れにくい餌は冷凍アカムシと判明して、落ち着いていました。 ところが、明日から気温が上がるかもの予報で、午後からは対策に奔走しました。これまでに汽水産と淡水産の…

抱卵テナガエビ、ゲット!

テナガエビをなかなか採取できないでいるのを見かねた師匠が、昨日、傷をつけないように気をつけて釣ったテナガエビを持って来てくれました。水道水の原水が霞ヶ浦なのでネオニコの影響を心配していると聞いた師匠のお友達が、ご自宅の井戸水も持って来てく…

ますます謎のテナガエビ

昨夜は手網とスルメをつけた竿を持って、霞ヶ浦に行きました。この時期の宍道湖なら、夜にテトラポットでたむろしているテナガエビを狙う人達が、懐中電灯と手網を持って湖岸に来ています。ところが霞ヶ浦では3箇所を3時間かけて回りましたがエビ採りは誰も…

ホームフィールド

昨年度から、ネオニコチノイドが水圏に与える研究のフィールドを宍道湖から霞ヶ浦に移し、研究助成も霞ヶ浦を対象にして申請しました。幸い採択されたところへ、今回のコロナ。対象を変えていて本当に良かったと思いました。霞ヶ浦は自宅から車で最短で15分…

灼熱の屋上で繁茂する日本の水草たち

今日は2ヶ月ぶりに大学に行って、屋上の水草の様子を確認しました。バケツに放置してあるアサザは元気いっぱい!緑藻に覆われても、その上に葉を広げています。霞ヶ浦ではアオコが一面に発生しても、まさにこんな感じで繁茂していました。霞ヶ浦にはもともと…

国立環境研究所からまた怪しいプレスレリース

国立環境研究所から、またもやリテラシーを疑うプレスレリースが出てました。 日本の水草に気候変動の影響 -120年・248湖沼のデータから見えてきた絶滅リスク-|2020年度|国立環境研究所 「背景と目的」で「水草の衰退の要因として、これまでは水質悪化や…

ペットショップは宝箱

木曜日にテナガエビ釣り名人にスポットを案内いただいた際、同行の方が釣り上げたオスのテナガエビを1尾くださったので、持ち帰りました。針でケガをしているので、なるべく自然環境に近いところで静養させるのがいいだろうと、実験水槽ではなく庭の火鉢水…

婆さんはそろそろご意見番

「ドイツでは昆虫が27年間で75%以上減少した」と2017年秋に発表され、これを受けてドイツ政府は2019年9月、昆虫の大量死を阻止するための包括的な政策パッケージである昆虫保護行動計画を策定しました。計画には農薬の使用削減も盛り込まれています。背景が…

名人と意気投合

今日は霞ヶ浦の手長釣り名人に、スポットを案内いただきました。思っていた通り、テナガエビがいるのはアサザやヨシが植栽されたところではなく、テトラポット護岸でした。 私はかねてからヨシやアサザは水質を悪化すると主張し実験データを論文にもしていま…

超薄い海水ゲット

今年度は霞ヶ浦(淡水)と涸沼(汽水)のテナガエビでネオニコチノイド耐性実験を行う予定で、釣り関係者から「そろそろ霞ヶ浦でテナガエビ釣りができそう」との情報が入り、日曜に様子を見に行くことにしました。念のため手網も持って行って、うまく捕まえ…

NHK教育番組が増やすマイクロプラスチック

ここ数年で家庭菜園で広まってきたのが、ビニールマルチです。私は原因のひとつとしてNHK教育番組「趣味の園芸 やさいの時間」だと思っています。下記はそのテキストにあった写真です。 苗の保温や保湿のために地面を覆うのは、ビニールが発明される以前から…

めざめよ!「国産農産物が一番安全」と妄信する日本

ポストコロナを考えたとき、グローバルな流通がとだえてもリスクは少なく、外出規制にも影響されない産業は農業のハズです。しかし日本はご存知のとおり、食料自給率は先進国最低レベル、かつ、今回のコロナウイルス感染のおかげで「日本の医療水準は世界有…

マイクロカプセルはマイクロプラスチックではない

2017年度から3年行って来た科研費萌芽の研究「合成香料を内包したマイクロカプセルが水界生態系に与える影響の検証」の申請書には、2016年9月に研究意義として下記を書きました。ーーーーーーーーーー水圏に大量に放出され、それが魚類などの水生生物への化…